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睡魔

2013.10.18 01:50|散文
澄んだ秋空がうんと背伸びするように広がっていて、まるまるとした羊雲がのんびりと動いていた。洗濯物の乾く、太陽の匂い。子供たちの駆ける軽やかな足音と、笑い合う声。猫の欠伸。季節感の外れた風鈴のとぼけた音色がどこかから響いてくる。夏の終わりを感じさせる少しひんやりとした風が白いカーテンを揺らしていた。
 それはまるで完璧な初秋の昼下がりだった。こんな優雅な一日だというのに、死にそびれて。わたしは憂鬱な目で窓の外の、マンションの隙間に覗いた小さな空を仰ぐ。
 こんな完璧な気候の日に、無気力に襲われてベッドの上で一日やり過ごそうとしていると死にたくもなる。突然の、しかも強力な無気力の原因がわからないまま、食欲も空腹さえ沸かずに、ただひたすらに睡魔だけがわたしを取り巻いていた。いくら眠ってみてもまだ足りず、目をつむれば優しく抱き込まれるようにまた眠りに落ちた。
 眠っている時ほどに安らかな瞬間はない。なにせ、何も感じず、何も考えずに済むのだから。たとえ悪夢だとしても、現実よりよっぽどましという気がしてくる。現実の何がそんなに最低なのかと言われてもうまく説明できないのであったが。
 なんだか現実逃避の下手な言い訳のようで、自分で嫌気がさしてきた。だからこそまた眠ってしまいたかった。
 誰かが鉄の階段を上る、カンカンと響く足音。ドア鍵の回るガチャリという乱暴な音に、悪事を見とがめられた子供のようにビクりと体が反応する。
「ただいま」
 独り言のような呟きが開けっぱなしのドアを擦り抜けてわたしの元まで届いた。黙って布団を引き寄せ、真冬の猫のように丸くなる。
「あれ……」
 気付かれた。一日こうして死んだように、ベッドの上に身を投げ出しているだけだったと。
「生きてたんだ」
 一言。それだけ残して、兄は自室へと消えた。
 自分に体温があるのが憎らしくて、わたしはぎゅっと目をつむる。
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