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白さ

2013.07.12 03:10|散文
アスファルトに散っていった君の肌の白さだけを今でも覚えている。

 あれからすでに4年という歳月が経過したということが、わたしには何の実感もないままにただ事実としてカレンダーの上に転がっていた。何をして今日まで生き続けてきたのか。その疑問はわたしの中のどこからか沸いて、またどこかへと泡のように消えた。
 色んなことがあったのかもしれないけれど、何の意味もなかっただろう。わたしは、流されるようにテンプレートに従った人生を続けてきただけだ。

 君の顔が思い出せなくなってどれくらい経つだろう。
 勿論、写真を見ればそれが君だとわかるのだ。あぁ、君はこんな顔だったなと思い当たるのだ。
 黒く長い髪だった。どんなに暑い日でも結おうとはしなかった、腰まで届くような髪が風に揺れていた。わたしの好きな、主張しないけれども甘いシャンプーの香りがした。
 紺色のブレザーがよく似合っていた。細い体躯。華奢という表現には似合わないほど凛としていた。そうだ、君の目はいつもはっきりと世界を見据えていた。
 ……それなのに、なぜ君は。あの日、あの時間に、あんなところで。

 脳裏に焼き付いて今も離れないのは、やはり君の肌の白さだった。髪の黒さよりも、鮮血の赤さよりも。
 まるで、血を流す前からとっくに命を手放してしまっていたかのような、透き通るような白さ。いったいどんなことがその身に降りかかったら、あんなにも生命を削り取られるというのか。君は生きている間、いったい何と戦っていたのか。
 たかが16年と8か月の人生の上で、君は何に出会った?
 そう問おうとする頭の奥、目の裏側で光るように、答えが疼いている。それはきっと、わたしが目を背け続けているものだろうと。

 きっと君は自分の人生に、生命に、誠実すぎた。
 優しさも、誠実さも、あまりに潔癖すぎるとその人自身を崩してしまう。この世は、綺麗過ぎる人間にはあまりにも生きづらい。
 わたしは誠実である振りをして、優しさを持ち合わせているようにふるまってみせて、その実、何一つ正しくも美しくもない。君のようには、向き合い続けられない。そんな弱くて汚い人間なのだ。

 このゴミ溜めみたいな世界の底を攫って、その手を汚してはいけない。そんなことをしても綺麗なものは見つからないかもしれない。だから、それでもその手を清いままに保てる一部の強い人間だけが、それをすべきだ。
 「それでも優しさを捨てないでくれ。誠実であろうとしてくれ」
 頭ではわかっている。けれども、そんな暴力的な言葉が胸の中で反響するのだ。うわんうわんと反響してわたしを煽るのだ。
 君のようにはなれない、わたしは。
 わたしは、それならどんな風に生きることが正しいのか、美しいのか。
 そんなことを意識に浮かべないどこかに彷徨わせながら、今日もヘッドフォンで耳を塞ぐ。
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