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漂う

2011.05.14 20:20|散文
世界はいくらか疲れを見せていた。
少女は、夕暮れのプラットホームからふわり、と。つま先をコンクリートから剥すように、宙へ浮き出た。そうしてそのまま、惰性に任せてゆるゆると上の方へ漂っていく。
振り返る人はいない。指さす人も、声を上げる人もいない。まるで少女が目に見えていないかのように。

少女は漂いながら考えていた。世界はもはや失われたのだと。
心の友などいない。わたしもいない。どこにもいない。
ただあるのは、ズタズタで放置されたレバーのようなわたしの姿だけだ。このレバーには臭いがない。おそらくは味も歯ごたえさえもないだろう。ただし、食べることが可能だということだけは確かだ。少なくともその姿は存在していて、腐っても黴てもいないのだから。

ややあって少女は屋根を越えた。視界が開けた。そこには空があった。色薄く雲に滲んだ、いつもより低い空だ。
少女の両目から澄んだ水が流れ出た。塩気のない、まっさらな水であった。やがてそれは、世界へ降る。人々の見えない実在にしみて、そうして跡形もなく消える。
少女はやがて空気へ溶けた。
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